NHK-ラジオ深夜便-クリスチーヌ・レヴィ氏インタビュー

先週の日曜夜、帰宅するとすでに2/3が放送済みだったが、NHK-ETVの「日本人は何を考えてきたのか-非戦と平等を求めて 幸徳秋水と堺利彦」を流して見ていた。
当時の「アカ狩り」によって非戦を唱えた幸徳秋水らが処刑された大逆事件は、実は冤罪もいいところだったらしい。
しかし、番組の主題よりも、出演者の外国人女性が話す自然な日本語につい気を取られてしまった。その内容も実に筋が通っていた。番組の最後には別の出演者が-社会主義というと、多くの日本人はかつてのソ連や北朝鮮を思い浮かべて、否定的に捉えがちだが、本来は「個人」主義に対する「社会」主義、つまり、個人のためではなく社会のためという、共生に基づく考え方のことなんですね、簡単に言ってしまえば-そんな風に語っていたと思う。

一方、一昨晩もうっかり早く寝入ってしまい、土曜の未明に起きてつけたNHKラジオから聴こえてきたのが標記インタビューである。「ああ、この前テレビに出ていた人だ」と気付いて、つい聞き入ってしまった。やはり日本語が上手い。聞けば、6才の時から4年間、中国史の研究者である父親の都合で日本に住んでいたという。フランスに帰国後、大学に入ってから改めて日本語を学んだそうだが、あの自然な日本語は子供時代の4年間の賜物だろう。あんな風に自在に「外国語」を操れて羨ましい。
フランスでは大学教授として学生に接しているとのこと。今も日本語は中国語と同じくらい人気があって、それは日本の漫画やアニメ人気と連動しているからだとか。レヴィ氏ご自身は漫画は読まないが、宮崎駿のアニメ等は評価しているという。
とはいえ、せいぜい「強いて言えば」だろう。大体、外国でのアニメ人気の実体が何なのか、まず語られない。それを探り出した途端、あまりの薄っぺらさが直ぐにバレるからだ。だから、「まァまァ、そうカタイこと言わないで。日本が良く思われていることなんだから」とお茶を濁すのだ...つい脱線してしまったが、肝心なのはレヴィ氏の次の言葉である-

日本も、国家が戦前や戦争中の真実はどうだったのか明らかにしないと、戦後60年も経った民主国家に相応しくない。
真実を「勝ち取る」ことが是非必要だ。それは何も戦争のことだけに限らない...
力関係で(力に物を言わせて)国家が「真実じゃなくても、どうでもいいじゃないか」となれば、人々は国家に懐疑的になり、信頼しなくなる。ひいては、「力関係で(強い側が)何をやっても構わないのだ」という恐ろしい世の中になる...


3.11には東京にいたそうで、当時のマスコミ報道の情報不足や伝え方をやんわり批判されていた。SPEEDIによる放射能飛散予測結果を伝えなかったことにも触れていた。
多分に遠慮されて言わなかったのだろうが、本当は上記引用部の思いは、3.11後の日本政府や東電etc.の挙動を見て決定的に強まったと言いたかったに違いない。