2012年09月

NHKスペシャル「日中外交はこうして始まった」-またしても悪質な論点隠し

相変わらずの尖閣報道だ。タイトルにあるように昔の経緯をあれこれ紹介していたが、全ては今の尖閣問題故である。だったら、事の本質を見極める材料をしっかり提示しないでどうする。この番組での説明-

1895 日清戦争に勝った日本が尖閣を日本領にした
1945 以来、尖閣は米国の施政下に置かれた
196x (60年代後半)尖閣周辺から石油が出る可能性が指摘され、中国、台湾が領有権を主張し始める
1972 沖縄返還協定により、尖閣は日本に返還された

カイロ宣言、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約にはあえて触れないのだ。1972年の日中国交正常化交渉でも、尖閣は田中首相が話題にしかけたものの、結局不問に付されたとのことだが、それをNHKは、どうしても「領土問題なし」とのオチにしたいらしい。

孫崎享氏Twitter 2012.09.30

朝日新聞書評

30日朝日新聞が「戦後史の正体」の書評を出した。
目を疑う位低レベルの書評だ。朝日新聞は「この書評は適切でなかった」とお詫びの文書を掲載すべきだ。余りに馬鹿馬鹿しいから、全体を論ずることなく、最初の数行をみてみたい。冒頭

NHKスペシャル「対立を克服できるか~領土で揺れる日中・日韓~」

日本に突如向けられた反感や不信の根底にあるものは、何なのか。専門家による分析や徹底討論を通じて浮き彫りにし、今後の日中、日韓関係の課題を探る。


この問題を報じるNHKの御用ぶりは当初から酷い。それでこんな番組に何も期待していなかったが、問題を分析する「専門家」とは誰なのか、気になって番組表など見てみたが載っていない。
だが、番組が始まると、田中均氏、櫻井よしこ氏らが映っていた。だから放送するまで出演者を伏せていたのだろう。「もっとマシな『専門家』を呼べ!」とクレームが殺到するからだ。

反日デモ-的外れな東京新聞社説

大手新聞の劣化が酷くなる中、東京新聞には良質な記事が多いと指摘する声をよく聞く。
それで9/19の社説「中国で広がる反日デモ 対話に全力 冷静貫け」を読んでみたが、御用新聞さながらだった。

尖閣諸島は日本固有の領土である。だが、国有化のタイミングは外交的に深い思慮を欠いたと言わざるをえない。