2010年10月

NHK-日本の、これから「どうする?無縁社会」

孤独死などに象徴される「無縁社会」が広がりつつある日本。なるべくしてそうなったのだろうが、ことの深刻さに、どんな手を打ったらいいのか討論していた。
そこには、民主党の小宮山洋子氏も出ていた。反射的にミスキャストだろうと思ったが、その通りだった。
一般の参加者の方々も同じ思いだったに違いない。
若い女性の参加者だったと思うが、政府、行政サイドがこの問題の現状をどこまで認識しているのか、小宮山氏に質す場面があった。困っている人がどれだけいるのか等、しっかり調査して欲しいと。
実は、それより前に小宮山氏は、民主党政権の宣伝、あるいは言い訳よろしく、現状改善のための政策や制度をとうとうと述べていた。
それで、上の質問者は、政策や制度をあれこれ言う前に、現状を把握していなければ本末転倒だと、もっともな不満をぶつけたのだと思う。
ところが、氏の返答は、「一体、何処のクソ役人が喋っているのだ?」というものだった。

NHK-クローズアップ現代「羽田国際化 アジアの活力を呼び込め」

羽田空港の国際化。成田まで行かずに済むので大変便利だ。
だが、伝わってきたのは薄っぺらな話ばかりである。
言っていることは、要するに「カネ儲けのネタができました。ガンガン儲けたいですね」-これだけだ。
「充実した施設と快適なサービスこそが、海外の大型空港との競争に勝ち抜くためのカギ」などと言う。
もっともらしく聴こえるが、そこで繰り広げられるのは、剥き出しの新自由主義による過当競争だ。まだ懲りないのか。
シンガポールのチャンギ空港というのが、その「勝ち組」で、利用者の評判がすこぶる良いらしい。
「お客様重視」が徹底しているからとのこと。しかしそれは、本当に心のこもったサービスを客に提供するわけでは決してないだろう。カネのためにそうしているだけだ。国際空港なんて、二度と会うこともない者同士がサービスを与え、与えられている場だ。与える側にしてみれば一回きりの相手を次から次へと捌いているのであり、「お客さまァ」などと笑顔を振りまいても、内心はブロイラーに餌をやっている感覚に決まっている。
そんなものをありがたがる客もロクなものではない。せいぜいバブル成金の類だ。

「国境の南」"South of the Border"(監督:オリバー・ストーン)

先日のラテンビート映画祭で見た作品。

オリバー・ストーンが左派と呼ばれる中南米の大統領達を追ったドキュメンタリー
オリバー・ストーン監督がアメリカで危険人物視されているベネズエラのチャベス大統領、ボリビア初の先住民族出身大統領となったエボ・モラレス、労働運動の旗手から大統領の座に登りつめたブラジルのルラ、反新自由主義政策をとるアルゼンチンの女性大統領クリスティーナ・キルチネル等、中南米の大統領達を追っていく本作。ストーン監督は彼等の話を聞きながら、米国主導の自由市場政策が中南米で失敗した理由を模索しつつ、カリブ海から南下していく。日本ではあまり馴染みの少ない個性的な中南米の大統領たちの「対アメリカ論」やそのパワフルな姿を知ることができる、見逃せない政治ドキュメンタリーである。


その中で印象に残った場面の一つは、キルチネル前アルゼンチン大統領のインタビューだった。
この映画を採り上げているDemocracy Now!の映像にも出てくる。(29:50-)


「強大な力に対して卑屈になる必要はありません。かといって、私たちの行動に異を唱える人々に対して、言うべきことを言うのに横柄になる必要もない。私たちはモンテレイ(メキシコ)で議論しました。私は、まさに今起きている問題の解決策を話しました。ブッシュにマーシャル・プラン(欧州復興計画)のことを引き合いに出したのです。すると彼は怒りました-マーシャル・プランなどは民主党のバカげた考えだと。彼は、経済を再生する最善策は戦争だと言うのです。そして米国は、戦争によってより強大に成長したのだと。彼はそう言いました。今の言葉通りです。ええ、彼は米国について話していたのです-民主党は間違っていた。米国の全ての経済成長は、様々な戦争によって促進されてきた-彼は、はっきりとそう言いました。ブッシュ大統領は...ええと、任期はあと6日だけでしたね?...ありがたい」

Nik Bärtsch's Ronin東京公演

スイス人ピアニスト、ニック・ベルチェが目下来日中。昨年に引き続き、自身のバンド「浪人」を率いてゴキゲンな"Zen-Funk"を披露してくれる。
明日は新宿ピットインでのライブ。
詳細はこちら



実は昨夜、渋谷でのソロ公演を聴いた。8月のスイス旅行でライブに行きそびれただけに、日本で聴けたのがうれしい。
リーフレットによると、ベルチェ氏はチューリッヒ大学で哲学、言語学も学んだという。また、合気道家でもあり、彼のステージ衣装はその道着?である;)
そして、さながら真剣勝負を挑むサムライの如く鍵盤に向き合う。

Fusil contra fusil(銃に抗った銃)- Silvio Rodriguez



森の静けさが別れの準備をしている
追悼して語られるであろう言葉は「爆発」

世紀の人物はそこで消息を絶った
彼の名、彼の姓は「銃に抗った銃」
それは南への風の殻を破る
そして、そこでの最初の十字架で真実は目を覚ました

すべての第三世界が悲しみを埋葬している
彼らは銃弾の雨でその名誉の場所、その歌を救い出すだろう

彼らは「人生」の遺体はそこに残しておくのだ
彼の名、彼の姓は「銃に抗った銃」
彼らは人と動物への哀悼歌を歌う
そして、涙の代わりに銃弾で泣き叫ぶだろう
彼らは太陽に向けて墓からこの男を引き起こす
そして彼の名前を共有するのだ-「銃に抗った銃」

(1968)